夫の華麗なる転職1

私の夫は10年美容師でした。イギリスに美容師の留学にも行っており、帰国してからは自身で美容室を経営。ヘアメイクの仕事にも手を広げ、少しずつ収入も増えていた頃、もっと仕事を増やしたいと考えて、自身のブランディングを目的に、激戦区の表参道に出店したんです。

当時はまだお付き合いをしていただけの関係で、彼の収入も知らなかったし、頑張ってね〜くらいでした。

店の家賃が倍近くなることや、より高級感のある空間にしたいと考えたのか、メニューの単価アップを行い、客層も不特定多数ではなく常連さんだけに絞るなど彼なりの戦略を図っていましたが、正直そこには根拠がありませんでした。

表参道で美容室を経営してるというブランドがあれば、ヘアメイクの仕事も増えるだろうと鷹を括ってたみたいですが全く増えず。

さらにそこへ追い討ちをかけるようにコロナ蔓延により客足が激減。貯金を切り崩していましたがいよいよその貯金も底をつきました。それが2020年。表参道の出店からわずか1年の出来事でした。

ところで、美容師ってビジネスモデル的に儲かるのは難しいと思うんです。それでも心から好きな仕事だというなら構わないのですが、その頃の彼は美容師でいることになんの価値も感じてなさそうにも見えて。ただ、美容師以外できないからとひたすらコロナがおさまるのを待とうとしていました。

もともと彼は地頭が良く論理的思考ができる人だと感じていた私は転職を提案。最初は嫌そうでしたが「あなたは転職に失敗したらとか、転職できなかったらどうしようと思ってると思う。でも今やっているのは何もしないという選択。何もしない選択をすることで明るい未来なんてない。転職するか、美容師続けたいならやり方を刷新して。何もしないという選択はしないで」と伝えました。

そして一念発起。転職活動をスタートしました。職務経歴書もろくに書けない状態だったので、全面サポート。しかし経歴が経歴だけに、100社近く応募して書類通過したのは、わずか2社という現実。しかも、年収は400万円くらい。。。

でもこのまま美容師続けるよりは安定が手に入るし、次の転職のための踏み台だから、と説得し、面接練習も連日実施してなんとか1社内定！ここまで3ヶ月かかりました。

私はMARCHレベルの大学卒で、普通に総合職としてやってきてるので、これまでの転職はすべて2週間から1ヶ月で完了。書類は全て通過、面接もほぼ通過、年収もアップ、という感じで選び放題だったので、学歴や職歴の大切さを改めて思い知りました。

これで晴れて転職は完了。あとは表参道の店の売却が課題でした。

つづく。